源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
検事 霧島三郎
51CFQYMY6GL__SX330_BO1,204,203,200_

検事 霧島三郎

高木彬光【著】
角川書店(角川文庫)刊
1974(昭和49)年8月発行
1997(平成9)年2月復刊

さて高木彬光氏も今年で没後20年を迎へました。この人もわたくしは大好きでしてねえ。ミステリイのみならず、時代小説やSF、果ては占ひの本まで、幅広く読ませていただきました。
占ひについては、自他ともに認める造詣の深さで、五島勉氏の『ノストラダムスの大予言』が大大大ベストセラアになつた際には、自著『ノストラダムス大予言の秘密』でその主張の悉くを覆し、その鮮やかさには快哉を叫んだものであります。さういへばかつて『大予言者の秘密』なる本を取り上げたこともありましたつけ。

ここでは『検事 霧島三郎』を登場させませう。高木氏の主要キャラクタアとしては、法医学者・神津恭介、弁護士・百谷泉一郎に次ぐものであります。
霧島三郎は東大在学中に司法試験に合格した秀才。本文の記述によれば「かなりハンサム」と、天から二物を与へられた人物として描かれてゐます。
竜田恭子といふ婚約者がゐて、結婚も間近と思はれたのですが、こともあらうに恭子の父が、殺人の容疑をかけられたまま、行方不明になつてしまつたのです。

捜査すればするほど、竜田氏の容疑は深まるばかり。検事といふ立場では、犯罪者の娘と結婚する訳にはいかない。結婚を諦めるか、検事を辞職するか......三郎は懊悩するのであります。
恭子に協力する寺崎、恭子を脅迫しモノにせんと企む須藤(これが嫌なヤツでね)、三郎の女房役となる北原大八、恭子の兄・慎一郎、その慎一郎と入籍したふさ子......疑へば誰でも怪しく思へる人物ばかり。
さうかうするうちに、第二第三の殺人事件が発生し、捜査陣は焦りの色を隠せません。はたして、三郎と恭子の運命は如何に? といつたところでせうか。

実は、本書を初めて読んだ時、霧島三郎の性格付けがどうもはつきりしないなあと、罰当たりな感想を持つたものです。ストオリイは面白いのに、主役のキャラクタアが弱い、残念であると。お前さんは何様だ?と言はれさうですね。
しかし再読してみたら、単にわたくしの読み方が甘かつただけでした。彼は正義感から動くだけの人物ではなかつた。それ以上に人間臭い、煩悩も人並みにある好青年。まさしく宇津井健。
かなりの長篇ですが、一気に読めます。面白いものは、古くなつても面白いと再認識しました。

ぢやあ、また。



スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
http://genjigawa.blog.fc2.com/tb.php/564-c9724917
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック