源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
三河を走って85年
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三河を走って85年 三河線・挙母線とともに歩んだ郷土の歴史と文化

神谷力【責任編集】
郷土出版社刊
1999(平成11)年12月発行

現在、各テレビ局ではローカル線番組が花盛りであります。しかしどこの局も同工異曲の作りで(流石にテレビ東京系は一線を画す内容だが)、扱ふローカル線も大体同じなのです。間違つても名鉄(名古屋鉄道)三河線なんかが取り上げられることはありません。三河線はわたくしが居住する地区でもつとも身近なローカル線なので、まことに寂しいのであります。
なぜ無視されるのか、考へられる理由としては、

 ①刈谷市・豊田市など工業地帯を中心に走るので、旅情に乏しい(実際はのどかな田園風景が多いのだが)。
 ②乗り入れる車両がほぼ6000系シリーズに限定されてゐるため、電車のヴァリエーションが楽しめない(かつては、3700・3730・3770・3780・3850・7300系といつた愉快な仲間たちが活躍するAL・HL車の宝庫だつたのに)。
 ③沿線に著名な観光地が少ない。
 ④ローカル線のくせに、15分ヘッドの電車型ダイヤである。時刻表を見なくても乗れるのはテレビ的に詰まらない(無論これは利用者にとつては良いことでありますが)。
 ⑤その他諸諸。

といつたところでせうか。

気の毒なので、『三河を走って85年』なる書物を広げるわたくしです。
本書は名鉄三河線開業85周年を記念して発行された写真集であります。16年前の刊行なので、今年は実に開業101年といふことになります。
三河線のみならず、既に廃線となつてゐる挙母線(上挙母-大樹寺)も同様に取り上げられてゐるのが嬉しいところです。
当初は「三河鉄道」として開業し、後に名鉄に編入されてゐます。国鉄東海道線のルートから外れ、陸の孤島化が心配された大浜(碧南)、高浜、知立、挙母(豊田)といつた集落を結ぶ目的で建設されたと仄聞してゐます。

本書の構成を大雑把に言ふと、三河線の歴史を概観する「通史編」と、「各駅紹介とエピソード」に分かれてゐます。
各駅紹介では、前述のやうに廃線部分の記述が有るので嬉しい。例へば挙母線の「トヨタ自動車前」駅。現在の愛知環状鉄道「三河豊田」駅の場所とほぼ重なるのですが、実は挙母市時代に「三河豊田」を名乗つてゐたとか。つまり現在の三河豊田は二代目といふことになります。
他の各駅も、昔の写真を見ると実に活気を感じさせます。何しろどの駅も乗客が多い。鉄道が交通の王者であつた時代を偲ばせるのです。
若林駅の開業時の記念写真では、駅長が滑稽なほど威張り腐つてゐるのが印象的。また、修学旅行で碧南駅に集合した大量の生徒たちに、迷惑さうな顔をしてゐる担ぎ屋の小母さんの表情が秀逸でした。

などと取りとめの無い感想が次々と浮かぶ、ノスタルジックな写真集でした。
たまたま、わたくしが三河人なので本書を選んだのですが、郷土出版社では全国各地で同様の写真集を発行してをります。自分の故郷のものを探しては如何でせうか。
ぢや、また。ご無礼します。



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