源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
台湾鉄路千公里
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台湾鉄路千公里

宮脇俊三【著】
角川書店(角川文庫)刊
1985(昭和60)年8月発行

宮脇俊三氏は、国内のみならず海外の鉄道も乗りまくつてゐます。プロの作家として初めての海外紀行が、たぶん『台湾鉄路千公里』であります。
1980(昭和55)年の6月2日~9日の8日間に亘つて、宮脇氏は台湾の鉄道完乗を目的に訪台してをります。35年前の台湾が宮脇氏の筆によつて鮮やかに蘇るのであります。以降述べる台湾事情は、全て取材当時のことでありますので、ご了承ください。

日本の鉄道の運賃体系は、普通列車から特急まで、基本的に運賃は全て同じで、優等列車には「料金」と称して別途加算されます。特急には特急料金。寝台車には寝台料金など。
これに対して、台湾鉄路局では列車種別ごとに運賃が違ふのださうです。列車種別は5種類あり、例へば台北-高雄間の場合、グレードの高い順に挙げますと、「自強号」「莒光号」「対号特快車」「快車」「普通列車」で、それぞれが違ふ運賃で、料金といふ概念は無いやうです。便利なのか煩はしいのか良く分かりません。
とにかく、宮脇氏はただ完乗するだけではなくて、それら全ての種別にも乗り、富裕層から庶民まで様々な現地の人たちと交流するのでした。

旅のスタイルは基本的に日本国内と変らず、観光は飽くまで二次的な扱ひで、ひたすら列車に乗り続けます。終着駅に着いても、折り返し列車にそのまま乗つて元に戻るだけ、といふこともあります。台湾では鉄道ファンは珍しいのか、さういふ宮脇氏の行動が理解されず、中中帰りの切符を売つてくれなかつたり。
そんな鉄道三昧の宮脇氏ですが、帰途の航空機が桃園国際空港を離陸した後、あと一日でも二日でもいいから、台湾に留まつてゐたいとの衝動に駆られたとのこと。
バスの中で腋を見せながら誘ふ女性、紫色の唾を吐きながら「今上天皇マダ生キテルカ」と尋ねた線香屋のおぢさん、著者の知り合ひの大学教授にそつくりな駅員、「再見」と挨拶したら固い表情で「再会」と訂正した青年......出会つた印象的な人たちが浮かんで来たさうです。刹那的な接触だからこそ、国内旅行に於けるそれよりも更に心に残るのでせうね。付添人に多くを委ねる後年の海外旅行と違つて、一人で何でもやる時代の宮脇氏ですので、筆にも力があります。

日本国内の鉄道旅行記と違ふのは、地名・駅名などが国内に比べて馴染みが無い為、しばしば地図を確認しなければ著者がどの辺を移動してゐるのかが分からぬ事があるところですな。台湾通の人ならさうでもないのでせうが、何しろわたくしにとつて台湾は未訪の地なので仕方がないのです。

ぢや、今夜はこんなところで。デハデハ。



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