源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
告白
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告白

湊かなえ【著】
双葉社(双葉文庫)刊
2010(平成22)年4月発行

とある中学校の終業式の日、森口悠子先生は自らが担任をするクラスのホームルームの時間で、驚愕の「告白」をします。
先生の娘が学校のプールで水死する、といふ悲しい事故がありました。しかし実は事故死ではなく、他殺であつたと。しかもその犯人はこのクラスの生徒二名(犯人A・B)で、二人とも今この教室にゐる、といふのです。そんな莫迦な。
あまりにも現実離れした先生の告白。中学生に対して刺激が強いと思はれる内容も含まれ、「あり得ないな」と内心思ひつつ、物語に引き込まれてゆく自分がゐたのであります。

先生が教室で語る部分は、元元短篇「聖職者」として発表されました。評判を得て、その後語り手が章毎に変る連作長篇として『告白』が完成したさうです。『吾輩は猫である』みたいですね。もつとも、作風は余りに違ひますが。
先生は真相を知つても、警察へは届けませんでした。なぜか。現在の法の下では、少年法に守られた彼らを罪相応に裁けることができないからです。従つて先生は自ら彼らに裁きを与へやうとしたのです。

第二章以降、語り手はクラスの女生徒、犯人Aの兄(実態は犯人Aの母の手記)、犯人A本人、犯人Bと次々変り、それぞれの立場から告白します。そして最後は電話で犯人Bに話す体裁で森口悠子先生が再び登場します。そこでこの事件に関はるすべてが明らかになる訳でありますが......
おお。森口先生は、何と恐ろしい女性でせうか。如何なる方法で先生が「犯人」に復讐を遂げたか、詳しく書きたいけれどミステリなのでさういふ訳にもいかず、隔靴掻痒の感があります。

かつて「本屋大賞」を受賞して話題にもなつたので、既読の方も多いでせう。同じ本屋大賞でも、例へば『博士の愛した数式』なんかとは随分違ひますね。『告白』をまだ読んでないよ、といふ方には「まあいつぺん読んでみてちよ」と、わたくしは小声で語り掛けます。作者・湊かなえ氏の確かな力量が窺へることでせう。



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