源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
空港まで1時間は遠すぎる!?
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空港まで1時間は遠すぎる!?  現代「空港アクセス鉄道」事情

谷川一巳【著】
交通新聞社(交通新聞社新書)刊
2013(平成25)年8月発行

我が家(愛知県豊田市)から飛行機に乗つて何処かへ行くとき、概ね中部空港(セントレア)へ行きます。電車で行かうとすると、知立と神宮前で二回乗換が発生します。大きな荷物を抱へてゐると、結構難儀であります。また、バスの場合、豊田市駅前から直通バスがありますが、これが時間がかかるのですよ。1時間20分くらゐですかな。早朝のフライトなんかは、暗いうちに出てタクシーか自家用車で行くか、前泊をしなくてはいけません。要するに不便であるといふことです。

日本の空港の弱点の一つは、そのアクセスにあると言はれてゐます。折角空路で時間を節約......と思つても、空港まで時間がかかり過ぎたら意味がなくなつてしまひます。2時間前には到着して搭乗手続きをせよ、などと言ふので、一層焦るのであります。新幹線なら10分前でも良いのに。

本書『空港まで1時間は遠すぎる!?』では、現在の空港アクセス事情を、鉄道の面から考察してゐます。
著者も述べるやうに、かつては空港へ鉄道を走らせるなんて考へられなかつた。何でわざわざ商売敵の飛行機に利する事をせねばならんの? といふ意識ですね。
しかし鉄道が交通の王者だつた時代は疾うに過ぎてゐるのです。首都圏対北海道の移動を例に取ると、確かに昭和30年代頃までは青函連絡船で北の大地へ渡る人が主流でした。しかし航空機が庶民にも乗れるやうになつた現在、空路:鉄路の比率は95:5くらゐまでになつてゐるさうです。つまり鉄道はライヴァルでさへなくなつたといふ訳。
さうなると、せめて空港アクセスは鉄道を利用していただきませう、と発想を変へてきたのであります。

第1章では、日本の玄関となる成田・羽田・関空を取り上げてゐます。
その中でも成田国際空港にかなりの頁を割いてゐます。それだけ問題が山積してゐるといふことか。とにかく都心から遠い。子供の頃は、成田新幹線なるものが出来て、遠くても時間はかからない、と聞いてゐましたが、周知のやうに結局新幹線は作られませんでした。
遠いといふことは、当然交通費も嵩むといふことですね。LCCなんてのが普及して、数千円の格安で空路を利用できる時代に、アクセスに同じくらゐの運賃がかかつたら、利用者から不満の声も出ませう。
羽田の再国際化が進み充実度が増す中、成田の存在意義すら疑はれる事態になりかねません。国が強引に建設を進め、多くの血が流された末に開港した成田。今後の行方はどうなりますやら。

羽田に関しては明るい話題が多いですな。課題も前向きなもので、まだまだ進化する余地があります。
関空のアクセスは、JR「はるか」・南海「ラピート」共に苦戦を強ひられてゐるさうです。確かに「ラピート」は、いつ見てもガラガラで、その実力を出せずに持て余してゐるかのやうです。

第2章では新千歳・中部・福岡の三空港を取り上げてゐます。新千歳は確かにいつでも賑はつてゐますな。賑はひ過ぎて、わたくしは敬遠していつも函館空港から帰ります。
福岡空港の便利さは反則級ですな。特段のアクセス鉄道ではなく、普通に地下鉄で直ぐに到着します。これでは山陽新幹線を擁するJR西も大苦戦するのは頷けます。でもこの空港、滑走路が中中空かなくて、上空で着陸待ちなんてことがあり、気持ち悪いのであります。

第3章はその他の、鉄道アクセスがある空港。即ち、仙台・大阪(伊丹)・神戸・米子・山口宇部・宮崎・那覇の各空港を紹介してゐます。
続く第4章は「そのほか、鉄道がアクセスに関係している空港」で、広島・熊本・丘珠・山形の4空港と、番外編として女満別・花巻の2空港を取り上げてゐます。

最後の第5章では、海外のアクセス事情を紹介してゐます。これを読むと、特にアジアのハブ空港と呼ばれるところは、利用者優先の考へが浸透してゐて羨ましい。交通機関に関しては、何となく日本はアジアの手本みたいな雰囲気があつたが、とんでもない話です。空港の遠さや運賃の高さ、24時間稼働しない空港など、問題は多い。著者は述べます「海外ではさして問題にならないことも、日本では問題になってしまう」「日本は世界の標準に合致していないことが多いように思われる
つまり、新幹線(特に整備新幹線)と同じですな。「日本の技術は世界一」などと浮かれてゐないで、謙虚に海外に学んでいただきたいものであります。




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