源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
なぜか笑介
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なぜか笑介<全29巻>

聖日出夫【著】
小学館(ビッグコミックス)刊
1984(昭和59)年1月発行(第1巻)

先月、その逝去が報道された聖日出夫さん。
記事によると、死因は胃癌、享年69ださうです。まだ若いのに。三年半も闘病生活を続けての末、亡くなつたといふことで、さぞ苦しんだのではと想像されます。同じく胃弱のわたくしとしても、他人事ではございません。出来れば苦しまずにポックリと逝きたいものですが、普段の素行がよろしくないので、七転八倒の苦しみの末くたばるのかも知れません。

聖日出夫さんの代表作といへば、『なぜか笑介』。「ビッグコミックスピリッツ」にて長年連載された、サラリーマン漫画であります。
主な登場人物は以下の通り。

主人公の大原笑介くんは、「三流私大」出身ながら、一流企業の「五井物産」に入社した新入社員。配属されたのは食品3課。
いつもカリカリしてゐる森川課長。私大出ゆゑに、その実力に比して出世が遅れてゐるといはれてゐます。息子とは、進路についてもめてゐるやうです。
なぜかオネエ言葉の高山係長。おちやらけキャラかと思ひきや、仕事はデキル人です。笑介くんには常に毒舌で厳しく接しますが、愛情が感じられます。
才色兼備の花園さん。仕事のみならずプライベートでも頼りになるスーパー女性であります。
28歳、メタボ体型の先輩、岩田くん。言ひたいことは遠慮なく言ふ性格で、衝突も多いですが、根は真面目。中日ファン。
同期の吉村くんはエリート街道を歩みさうな雰囲気、同じく同期の加藤くんは熱血漢。
他に杉さんといふ女性がゐますが、いまいちキャラクタアが分かりません。
そして人事課の泉今日子さん。美人。一歩下がって男性を立てる、古風な女性といふ印象がありますが、第一巻では、例へ彼女がゐても笑介くんを奪ふわ、などと真に積極的な面を見せます。後に目出度く笑介くんと結婚するのでした。

単行本の表紙には「新入社員マニュアル」とあります。むろんこれは所謂バブル期を背景にしてゐます。努力すれば結果が出た時代。よもや現在のフレッシュマン諸君が笑介くんの真似をするとは思ひませんが、さうかと言つてこの漫画は全く過去の遺物なのかと問はれると、首肯できかねます。人間は数十年程度では、さう変化するものではありますまい。
笑介くんの失敗を笑ひながら、きつと自分の立場に重ね合はせながら読むんぢやないですかね。そして上司に突込まれたら、心の中で「ズッ」とずつこけるのが、正しい反応と申せませう。

笑介シリーズは、この後『だから笑介』『社長大原笑介』と続きますが、作者の逝去により、もう新作の笑介は読めません。まことに寂しいのであります。
さやうなら、そしてありがたう。聖日出夫さん、大原笑介くん。



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