源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
檸檬
檸檬 (新潮文庫)/梶井 基次郎

¥452
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檸檬
梶井基次郎【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1967(昭和42)年12月発行
1978(昭和53)年2月改版
1985(昭和60)年7月改版
2003(平成15)年10月改版


愛知県のK市に、わたくしの知り合ひの不動産屋さんがあります。
ここの若旦那がですね、びつくりするくらゐの男前で、声も良く、信じられないほど紳士で、実にさはやかに常に微笑みながら顧客に接してくれるのであります。
そのさはやかさは、ぎりぎり不自然に感じない絶妙の匙加減なのです。即ち彼のファンは多い。
で、友人と語り合つたものです。「あのさはやかさは、ちよつとをかしいぞ。これはきつとなにかがある」と平仮名で議論しました。
そしてわたくしたちが下した結論。「きつと彼は、以前人を殺したことがあるに相違ない。さうでもなければ、あのさはやかさは説明がつかないぜ」

本書所収の「桜の樹の下には」を読んで、そんなことを思ひ出しました。桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる! それは突飛なことではなく、精神の平衡を保つためには自然とさういふ思考に至るのであります。
しかしそれを口にしたり、ましてや文学作品にしてしまふのは梶井基次郎くらゐでせう。
表題作「檸檬」では、丸善に檸檬を置き去りにする。檸檬を爆弾に見立てて、それが爆発すれば気詰りな丸善も木葉みじんだらう...
おかげで丸善には檸檬を置く客が後を絶たないとか。迷惑な話ですが。

何かに行き詰まつた人や、疲れた人は一度読んでみませう。経年するほどに輝きを見せる作品群です。

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