源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
達人に学ぶ鉄道資料整理術
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達人に学ぶ鉄道資料整理術

柳澤美樹子【著】
JTB(マイロネBOOKS)刊
2003(平成15)年1月発行

テツ活動をする人は、何かとモノを蒐集する性癖があります。関連書籍・雑誌であつたり、切符類であつたり、駅弁の紙、駅スタンプ、写真、模型、時刻表......それこそ枚挙に暇がありません。
それらの蒐集方法から、整理・収納・保存など、誰もが頭を悩ませる種々の問題を、各分野を極めた泰斗たちにインタヴューし、我我凡人の参考に供するといふのが本書の目的のやうです。

これら達人たちのコレクションを見てまづ思ふことは、如何なる分野であれ、その道を極めた人のコレクションは、個人的趣味を離れて社会的価値を持つといふことですな。
例へば和久田康雄氏の蔵書「新金沢文庫」。私鉄各社の社史や統計年鑑はもちろん、明治時代の鉄道設計図面集とか、日本全国でもここ以外に存在するのか?と思はせるほどの稀覯書が揃つてゐます。もはや個人研究を超えてゐて、公的な法人が管理するレヴェルでは。
また、駅弁関係の林順信氏。最近の鉄道車両は窓が開きませんので、昔のやうに駅で購買することは少なくなり、デパートの駅弁市なんかの方が売れるさうです。そんな現代だからこそ貴重な掛け紙、お茶の土瓶のコレクションなどは鉄道のみならず日本の風俗史の貴重な史料と申せませう。
余談ですが、昔のお茶は土瓶に入れて販売してゐました。わたくしの世代はすでに、プラスチックの容器に変つてゐまして、何だか変な臭いがしたものです。昔の人が土瓶の思ひ出を、半ば自慢気に語るのを聞くと、口惜しい喃と思ふのです。

また、愛着を感ずる自らのふるさとに限つて史料集めをする方も多いのに感動しました。横浜に限定してあらゆるグッヅを蒐集する「横浜博士」の長谷川弘和氏、広島在住で「中国地方」の鉄道関係の資料を後世に残さんとする長船友則氏......
鉄道といふのは、いはば中央集権の象徴。それだけに、一地方から見た鉄道史は埋もれ、いづれ忘れ去られる運命になりがちであります。趣味の世界とはいへ、かかる活動には頭が下がる思ひでございます。

面白いのは、複数の人が次のやうなことを言ふ。「趣味の世界に拘らず、何かを極めやうとする人は、富士登山をする人に似てゐる。アプローチの方法は色々あるが、結局行きつくところ(頂上)は同じである」と。
わたくしも中途半端にモノを集めてゐますので、何か参考になるかしらんと思考したのですが、彼我のあまりの相違を知つた今では、そんな大それた気分になれませんな。ただ口をあんぐり開けながら読むのみでした。デハこれにて失礼。



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