源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
シャンソン・カンツォーネ・ラテン
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歌う歓び、生きるよろこび 
シャンソン・カンツォーネ・ラテン 永田文夫訳詩集


永田文夫【著】
アーバンプロ出版センター刊
2016(平成28)年5月発行(増補版)

先月亡くなつた永田文夫氏の訳詩集であります。訃報には大きなショックを受けたものです。
永田氏はシャンソンを中心とした、欧州や南米などの大衆音楽を日本に紹介し続けた人。この永田氏と、同じくシャンソンなどフランス文化を紹介してきた永瀧達治のふたりは、わたくしに大きな影響を与へました。彼らを知らなかつたら、仏文学を専攻しなかつたかも知れません。

特に永田文夫氏がDJを務めるレイッディオウー番組は、貪るやうに聴いたものであります。シャンソンではないけれど、フリオ・イグレシアスを日本で初めて紹介し、レコード会社に呼びかけてアルバムを発売してもらつたのも永田氏(本人談)。フリオが「ビギン・ザ・ビギン」で大ブレイクする数年前の事でした。
なほ、永田氏の文章を愛読するあまりわたくしも影響を受け、「~と申せましょう」とか、「(その成果は)如実に表れました」などのフレイズは現在も自分の文章の中に紛れ込んでゐます。

さて『シャンソン・カンツォーネ・ラテン』であります。永田文夫氏は訳詩も多く手掛けてをり、「愛の讃歌」は有名な岩谷時子訳と違ひ、原詩に忠実な背徳的な内容を含む歌詞となつてゐます。その他にも、競作となるほど有名なものから、未だに日本で紹介されないアーチストの作品など、幅広い選曲でございます。
訳詩は、CDの歌詞カードにおまけで付いてくる「対訳」とは違ひ、そのまま歌手が歌へる「歌詞」でなければなりません。即ち、作詞能力が求められます。日本のシャンソン歌手の多くが、「永田訳」を採用する事実を見ても、その作品の完成度は高いと申せませう。

ところで、本書の初版は2000(平成12)年。今回、このタイミングで増補版が出版されたのは、永田氏の追悼の意を込めての上梓であらうなどと考へてゐました(それにしては早すぎるとは思つたが)。
しかるに何ぞや、冒頭の永田氏本人による「はじめに」といふ文章の日付は、「2016年(平成28年)4月吉日」となつてゐるではありませんか。つまり予定通りの発行だつた訳ですね。
おそらく本書の刊行を見届けてからの逝去だつたのでせう。さう考へると、少し救はれた気がいたします......



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