源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
国難
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国難 政治に幻想はいらない

石破茂【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2015(平成27)年8月発行

いつぞや石破茂氏の『国防』といふ本を取り上げました。さすがにミリタリーの専門家だけあつて、説得力のある話でした。為政者は軍事のプロでなくてはいけないと語る石破氏の覚悟と信念が感じられました。
将来的に地方分権が進んでも、国防と外交は国の責任となるでせう。しかし軍事に関して一家言ある政治家が思ひのほか少ないといふ話は、まことに心許ないところです。平和を語るその口で軍備の話をすれば、票を失ふとでも思つてゐるのでせうか。そして平和主義者ほど、ミリタリーに無知ではゐられない昨今でございます。なんて偉さうな事を言ひながら、わたくしも素人丸出しですが。

そして『国難 政治に幻想はいらない』であります。
周知のやうに、日本は戦後、世界史上まれにみる経済発展を遂げ、格差の少ない、平和で治安の良い国を作りあげてきました。人口は増え続け、今日よりも明日の生活が必ず良くなるといふ、将来への希望があつたからであります。
ところが今や、景気の良い話はどこにもありません。雇用は不安定になり、将来の不安から消費は滞り、超高齢化社会で年金は目減りし、治安も悪化して、国の借金は増える一方なのです。みんな頑張つたつもりで、こんな国を作つてしまつた。

本書は自民党が野党に転落してゐた時期を中心に書かれてゐます。ゆゑに、各所で当時の民主党政権に対して猛烈批判が展開されてゐます。政権与党を攻撃するのは野党の役目なので、それはまあ良いのですが、長年に亘つて政権を担つてきた我が党の責任についてはあまり感じてゐないやうです。確かに「自民党に責任がある」「反省」などのフレイズはちよくちよく出てきますが、どうもその言葉は空疎に響きます。
ここで念のために添へますが、別段民主党を擁護する積りは毛頭ございません。彼らの政権運営は確かに下手糞でありました。目を覆ふほどに。そしてそれを選んだのは国民であります。この国の有権者は選ぶ権利は声高に叫ぶが、選んだ結果に対して責任を感じぬやうです。二大政党制も真の民主主義も育たぬのは、かかる背景があるからでは。

さて国難を乗り切るには、従来のやうに政治家が国民に耳障りの良い言葉ばかり述べてゐてはいけない、真実を語らねばならないと石破氏は語ります。最近はかういふ意見が優勢ですな。ポピュリズムに陥るな、大衆に迎合するな、なんて。
その通りでせうが、それを増税や社会保障の水準低下の言ひ訳にされると、「待てよ」と個人的に思ひます。
この国難を招いたのは誰か。その反省もなく一方的に国民に「金がないからしようがないだらう」と負担を求める姿勢に疑問を感ずるのであります。「身を切る改革」などと言つても、それは結局国民の身を切ることですな。議員さんがその特権を自ら放棄する事は考へられませんね。こんなオイシイ商売、やめられるか。税金で物見遊山ができなくて何の為に議員になつたんだ。
石破氏も、議員の削減や歳費カットでは限界がある、などと消極的な姿勢ですね。限界までやつてもゐないのに。

逆さに振つても鼻血も出ないぜ、といふくらゐ無駄を省いたカネの分配をした上でなら、本書の主張は20000%同意できるものです。あ、最高で100%でした。訂正します。
かういふ話題を語るのは、本来わたくしの柄ではありません。ご無礼をいたしました。



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