源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
翻訳はどこまで可能か
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翻訳はどこまで可能か―日本語と英語のダイアローグ
中村保男【著】
ジャパンタイムズ刊
1983(昭和58)年7月発行


全3章構成で、第Ⅰ部「言葉と文化」、第Ⅱ部「言葉の諸相」は「スチューデント・タイムズ」に連載されたものをまとめてゐます。
第Ⅲ部「ケース・スタディあれこれ」では、「翻訳の世界」など他の雑誌に掲載したものを収録してあります。
そして巻末には福田恆存氏との対談が付されてゐます。実に充実した内容と申せませう。

英文和訳と翻訳の相違を、豊富な例文を用ゐて、独自の視点から解説してくれます。
例へば、英語と日本語の語順について。
よくいはれることですが、英語では最初に結論を述べるが、日本語では最後まで聞かなくては肯定文なのか否定文なのかさへ分からないといふ指摘があります。

しかし、著者に言はせると、これこそ英文和訳の弊害で、学校英語で「後から訳す」ことに慣れてしまつた結果だといふのです。
古来、日本語でも「...と孔子は言つた」ではなく「子曰く...」といふ語順であつたと。
定説といはれるものが、案外好い加減なものであることが分かるのであります。

そもそも、翻訳は本来不可能なものとして捉へてゐるやうで、だからこそ表題で「どこまで可能か」と問ふてゐるのでせう。
翻訳には、謙虚な姿勢で臨まないと、自らが恥をかくだけでなく、場合によつては社会に害毒を流すこともある、といふことでせうね。

翻訳はどこまで可能か―日本語と英語のダイアローグ/中村 保男

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