源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン
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水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン 私はなぜ九州新幹線に金箔を貼ったのか?

水戸岡鋭治【著】
交通新聞社(交通新聞社新書)刊
2009(平成21)年8月発行

本書はライターの渡邉裕之氏が水戸岡鋭治氏にインタヴューしたものをまとめたものださうです。聞き書き。ゆゑに読者の眼前で語つてゐるやうで、まことに分かりやすい。

実は水戸岡氏に対するイメエヂは、わたくしにとつて必ずしも芳しいものではございませんでした。評判を取つた787系にしても、外観はともかく居住性に関しては不満が残るものでした。あれなら783系(ハイパーサルーン)の方が陽気でエキサイティングで、乗つて愉しい電車だと思ひます。
ところが、九州新幹線が開通して800系が登場しますと、一気にこの電車に惚れこんでしまひました。続いて「いさぶろう・しんぺい」をはじめとするキハ40系改造車。走行路線の魅力と相まつて、実に愉快痛快であります。少なくとも国鉄時代では考へられぬ概念をもつた列車群と申せませう。

水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン』は、水戸岡氏が鉄道デザインについて如何なる思想を有してゐるのか、その一端に触れる事ができる一冊であります。デザインに正しいとか、正しくないとか区別が有るのか?とも思ひますが、まあいいでせう。特に第三章・第四章は、鉄道を離れて、一般ビジネスマンの仕事にも参考になると存じます。
「これまでになかつたもの」を求めるJR九州と水戸岡氏との、世にも幸福な出会ひが実現した経緯も面白い。

ただ、第五章で述べてゐる「大鉄道時代」は、もう来ないと思ひます。水戸岡氏は、鉄道が「再び注目」されてゐると語つてゐますが、残念ながら陸路交通の手段としては、新幹線と大都市交通線以外は衰退するでせう。否もう既に瀕死の状態ですね。
例へ「ななつ星in九州」のやうな超豪華列車が花盛りになつても、それは鉄道の復権とは関係ありますまい。むしろ滅びゆくものへの挽歌を連想するのはわたくしだけでせうか。ああ、さうですか。それなら良いけど。
国が「クルマがなければ生活出来ない」社会を目指してきたわけで、現状は十分予想できたと申せませう。特に地方では少子化・過疎化も著しく、鉄道の衰退に拍車をかけてゐます。

理想を語るのも大切ですがね......



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