源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
命をつなげ
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命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い

稲泉連【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2014(平成26)年12月発行

あの大津波から五年半。未だにあのショックは忘れられません。今後も忘れることはありますまい。関連書籍も多く出ましたが、辛すぎて中中目を通す心持にはなれませんでした。
この『命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い』は、津波により流された汚泥や瓦礫に埋もれた道路を、地元の人々が夫々の使命感から立ち上がり、文字通り命懸けで復旧へと導いた実話を取材した一冊であります。

すべてが流された故郷の風景。「おまえの家も、俺の家も、もうないよ」と立ち尽くす男性。いつたいどこに道路があつたのかさへ分からないのです。
元元海運に頼つてきた三陸地方は、陸路が脆弱であつたさうです。そんな三陸に「大動脈」国道45号線が全線開通したのがやうやく1972(昭和47)年になつてからのこと。この命の道が寸断されたのであります。

火災が起きても消防団が行けない。自衛隊が活動しやうにも、現地へ辿り着けない。そこで地元の建設業者が動き出します。動かせるだけの重機と可能な限り多くの人を集め、緊急車両や救援物資を運ぶ車両が通れる道を、一車線でいいからまづ開通する。
しかし道路上には流された家など、多くの物があります。家の中には人がゐるかも知れません。泥を除ける作業中に、遺体が発見される可能性もあります。そして作業員は昼夜兼行での強行作業。自らも被災してゐて、心身とも限界なのです。「とにかく道を通すのだ」の一念で動くのでした。

国や県の指定業者が動けない。ならば動ける我々がやるしかない。指示が無くても、管轄が違つてゐても、違法であらうが、困つてゐる人たちの為には行動あるのみと考へたのです。情報も寸断され、彼らが「くしの歯作戦」を知つたのは、ずつと後のことださうです。

ほかにも、民間、公務員に拘らず、かかる混沌状態で「腹をくくつて」自分の役目を果たした人たちの行動が描かれてゐます。何の手がかりもない中、とにかく動いた人たち。もつと彼らの事は知られても良いのではないかと思ひ、今回取り上げてみました。

デハまたお会ひするまで、御機嫌よう。



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