源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ゴジラを飛ばした男
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ゴジラを飛ばした男 
85歳のクリエイター 坂野義光


坂野義光【著】
JUKE弘井【構成】
フィールドワイ刊
2016(平成28)年7月発行


今年5月7日、蜘蛛膜下出血にて86歳で他界した坂野義光監督です。
ゴジラの監督といへば、昭和だと本多猪四郎や福田純、VSシリーズでは大森一樹や大河原孝夫、さらにミレニアムシリーズでは手塚昌明や金子修介といつた面々が思ひ浮かぶでせうか。
坂野監督は、シリーズ11作に当る「ゴジラ対ヘドラ」(1971年)のみの担当ですが、これ一作だけで十分すぎるイムパクトを放つてゐると申せませう。
ゴジラシリーズの対象が低年齢化し、予算も払底する中、坂野監督は第一作同様にメッセージ性を強く打ち出す作品を目指しました。更に大人の鑑賞にも耐え得る作品といふことで、結構ショッキングな映像もあります。
特撮の神様・円谷英二の死を受けて、特撮現場も混乱してゐたさうです。それまで、本編・特撮2班体制だつたのが1版体制となり、坂野氏は特撮パートも監督することになりました(特殊技術は、中野昭慶)。

ヘドラの恐怖に対し、ゴジラは口から吐く放射能噴射で、後ろ向きになつて空を飛ぶといふ、まあとんでもない行動を見せます。田中友幸プロデューサーが入院中だつた為、この演出の了解を得ないままの公開だつたのですが、田中の退院後、案の定苦言を呈されてしまひます。それが原因かどうかは分かりませんが、その後ゴジラシリーズは続きますが坂野氏に依頼は2度と来なかつたさうです。
しかし映画全体にみられる、公害の恐ろしさを訴へるメッセージは強烈で、本作は今なほ、シリーズ中屈指の異色作として、カルト的人気を誇るのであります。

その後については、本書で初めて知る事項が多いのですが、東宝が映画製作を縮小して活躍の場がなくなつたため、水中撮影を中心としたテレビ用の映像制作に関はるやうになります。さういへば「ヘドラ」で山内明が潜水するシーンも、坂野監督自らがスタントをしてゐたとか。
同時に後進に対しての、技術の継承を強く意識してゐたやうです。夢としては、「国際映像大学」を開校することがありました。誰もやつてくれないので、坂野氏自らがスタッフ集めや資金調達に奔走したのですが、中中うまくいきません。結局坂野氏の存命中には叶ひませんでした。
それでも、個人的には「ミロシティ」計画(大学を中心として、各種テーマパークを併設した新しい施設を造る)は、まことに夢がある、素晴らしい構想だと存じます。オカネのある人がこの構想を実現してくれないかなあ。

ところで本書は、「坂野義光著」となつてゐますが、本文は全て「坂野義光は」といふ三人称で語られます。「構成/JUKE弘井」となつてゐますので、この人の聞き書きを中心にまとめたのでせうかね。その辺をはつきりと記して頂きたたかつた喃。



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