源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
抱き人形殺人事件
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抱き人形殺人事件 キャスタードライバー事件簿

井口泰子【著】
集英社(集英社文庫コバルトシリーズ)刊
1981(昭和56)年3月発行


井口泰子さんが2011年に亡くなつてゐた事を知りました。享年74。1937年生まれなので、今年で生誕80年といふことになります。
彼女の作品といへばまづ、『フェアレディZの軌跡』でせうか。しかしここでは、『抱き人形殺人事件』であります。特に理由はありませんが、わたくしが所持する唯一のコバルト文庫といふことで。正確には、当時の名称は「集英社文庫コバルトシリーズ」と申しました。
ところで、このシリーズは、一般向けの「集英社文庫」から派生したと思はれがちですが、実はコバルトが先にあつて、後に一般向けに「集英社文庫」が創刊されました。わりとどうでもいい話。

サブタイトルにある「キャスタードライバー」とは何か。文中では「ところで、キャスタードライバーという仕事も、もうよく知られていると思うのだけれど、ミニFMカーを運転して走り回り、交通情報や、時どきの街の話題を拾ってレポートするドライバーのことである」と説明されてゐます。
さうか、良く知られてゐるのか、わたくしはあまり聞いたことがありませんでした。CBCのレポートドライバーみたいなものですかな。

そのキャスタードライバーの草深真子(くさふかしんこ)が、取材する予定だつた独居老婦人の自宅を訪れたところ、 何と彼女は死亡してゐました。どうやら他殺らしい。現場には、腹を引き裂かれた抱き人形が残されてゐました。これは、何を意味するか。
そして目撃された男性と失踪した少年を探して、真子は仕事上の相棒や妹・弟らを動員して真相を探しに東奔西走。担当刑事の柳くん(独身)に対する好奇心も手伝ひ、捜査に熱が入るのであります......といふ感じ。

当時の若者の風俗や流行、時代世相が色濃く反映されてゐて、中中興味深いのであります。作家の中には、後世に作品を残す事を意識して、故意に執筆時の時代を感じさせぬやうにする人がゐますが、わたくしには寧ろかかる記述がある方が愉しい。獅子文六や源氏鶏太なんかは、今でもたまに読むのです。



拙ブログにて4月24日に取り上げた、ゴジラ俳優の中島春雄さんが亡くなりました。
88歳とのことで、いつかはこの日が来ることは覚悟してゐましたが、やはり残念であります。
円谷英二が範とした「キングコング」は、アニメの手法で表現されてゐますが、予算も時間もない日本では、役者がゴジラのぬいぐるみの中に入る方式をとりました。そこで中島春雄さんに声がかかります。ぬいぐるみは当時100キロを超す重量で、他の人が入ると全く動けなかつたのが、中島さんは「10メートル歩けた」といふことで、その後の運命が決まつたのでした......
今週は追悼週間として、「ゴジラ」や「ガイラ」などを我家で上映してをります。合掌。



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